ある相談者との体験から

このような相談者もいる、という話です。

この方は無料相談会へ見えた70代の女性です。

姉の介護をして来たのだが、今後、姉が死亡したときに備えるにはどうすればよいのか、というのが最初の相談でした。

依頼を受けた後、直接お姉さんにも会い、後見、遺言、死後事務委任を説明し、それらすべてを準備した後、亡くなりました。なお、相続人は相談者の他にも兄弟姉妹、甥姪など多数おり、遺言等の準備がなければかなり時間がかかる相続になったものと思われます。 長期にわたって介護をして来た相談者にとっては有益な結果となったものと考えます。

さて、その後なのですが、この相談者は頻繁に電話をかけて来るようになりました。このような方はご自分の考え、主張をすべて正しいものと考える傾向があります。その裏付けとして私どもの意見を求めるのです。

私としてもすべての疑問に回答したり、助言をすることは不可能なのですが、どうもその場ですぐに判断を求めたがる傾向があります。

このような電話相談は手元に何らの資料がありませんので、回答がしにくい場合が多いのも現実です。

これまでの相談内容の主なものは以下の通りです。

ゆうちょ銀行で株式(?)を買ったが、元金は保証されると言われた。

長兄が貸家を3軒持っており、そのうちの1軒を相談者へ贈与

(相続?)すると言っている。

兄弟姉妹に相談なく甥と養子縁組をした。

自分(長兄)が死亡したときは、預貯金の○○分の1を相続させると言っている。

皆さんはどのような対応をされますか。

相談者への相続、贈与については文書がなければまったく効力を生じないから、長兄さんに私と面談するように伝えてもらいたい、とお話ししました。

依頼されれば、訪問日当(3万2千円)・交通費別途は遺言作成報酬へ含めるが、そうでない場合は別途請求となることも事前に伝えました。

この依頼はありませんでしたが、私どもへの報酬や公証役場への手数料を相談者が負担していれば、相談者にかなり有利な結果となったものと推測します。

その後、長兄は亡くなり公正証書遺言が存在することが判明しました。

その内容についても問い合わせがありました。しかし、手元に遺言のコピーもありませんので、対応は困難だから遺言を持って相談に来てほしいと回答しました。

電話での話ではその遺言の遺言執行者は養子さんになっているとのことです。しかし、姪の1人が知り合いの事務所へ依頼してしまった、とのことです。

指名されている遺言執行者が他の者へ執行を依頼することは可能です。しかし、この相談者は自分の知らない事務所へ依頼した場合、自分の相続分が減額されるのではないか、という心配をしていました。

正当な遺言が存在し、その相続人が辞退しないかぎり相続分に変化はないのですが、執行者が変更になったことでかなり不安なようでした。

皆さん方も今後、1度相談を受けただけの方がその後くりかえし電話相談をしてくることがあるかも知れません。

話されている内容が事実かどうか不明な場合が多いものです。

資料を持参してもらい、面談へ切り替えた方が誤解を招かないものと思われます。

遺言については、コピーでよいから持参した上で相談をお受けしましょう。ただし、8千円の相談料がかかります、とお伝えしました。その後、電話はありません。

このような方の場合は、電話だけで済ませたいのかも知れません。面談へ切り替えて有料にする方が私どもの負担も少なくて済むものと思われます。

ご参考になれば幸いです。

塾長 黒 田 広 史


2023/09/19

 今年は夏祭が開かれた町内会も多かったのではないで ...>>続きを読む



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