事務所を借りよう!
事務所を借りよう!
行政書士初心者の方との面談で、一番多い質問は「どうしたら行政書士として成功しますか?」です。
気になるのはこのことでしょう。
受験に際して多額の金銭と相当な時間を費やしたのですから、当然の疑問、不安でしょう。
先日もある研修会の冒頭でこの件についてお話ししました。いやいや、ほんとうはこのようなヒケツは私の方 こそ知りたいのですが。
私は次のように提案しました。
- 事務所 2,営業 3,集金
どこかでお話したか、すでに書いたかもしれません。しかし重要なことですのでお話しします。
そうそう、このようなことを話してくれた先輩書士は一人だけです。それだけに今も感謝しています。
まず「事務所」。
大半の方が自宅開業で始めて、利益が出てきたら事務所を借りよう、です。逆です。利益を出すために事務所を借りるのです。
来所する相談者はまず事務所を確認します。本当にそこに事務所があるのか、その立地、事務所の体裁、周囲の状況などなかなか詳しく観察するものです。
自宅がどんなに立派であっても自宅は自宅。中には事務所が自宅とわかるとはっきりと落胆してしまう方もいるほどです。まぁ依頼には結びつきません。
独立した事務所であれば、やはり「本気」で業務をしていると相手に伝わります。これも大きな営業効果と言えます。
ワンルームマンションでも十分ですが、家賃、経費を考えると月額10万円。一坪事務所でも8万円が相場です。年額にすれば100万円は必要でしょう。
そうなると、営業と集金に必死になりませんか。自宅事務所ではほぼ経費はかかりません、ですから依頼があってもなくても漫然と過ごしてしまうのです。
事務所を借りていれば、そんなことは許されないのです。すぐに家賃の支払日になってしまいます。
今月は売上0だから家賃は払えません、などという訳にはいきません。なんとしても家賃と水道光熱費は払わなければなりません。
では、どうするか?
アルバイトが可能な方はそれ。アルバイトができない方は自分の預貯金をとりくずす。
それも無理なら配偶者でも両親でも借りられるところから借りる。(必ず借用書を作成する)。
約20年前、現在の事務所を借りる時、私の貯金は400万円しかありませんでした。それを全部使いました。賃貸契約に約100万円。事務所備品に残額すべてをはたきました。もう文字通り背水の陣です。
そこで元旦から私は事務所へ行きました。事務所のすぐ近くに「氷川神社」があるので、初詣の参拝客が飛び込みで来るのではないかと、期待したのです。
このような正月を3年続けました。 結果的にはトイレを借りに来た方が数名いただけでした。
これが自宅であれば元日からこのようなことはしないでしょう。
他人からみればバカげたことかもしれません。しかし、事務所を借りたからこそ、必死の行動になるのです。
自分を追い詰めることも私は必要と考えます。シュートボールをこわがっていては内角は打てない、と言います。
無職と書きたくない、何か肩書が欲しい。気持ちはわかりますが、そのような姿勢だけでは専門家にはなれないでしょう。
竹刀や木刀を振り回すだけでは真剣勝負には勝てません、相撃覚悟で立ち向かうことこそ、勝者になるための条件、と考えます。
2,営業と3,集金は次回に述べます。
塾長 黒 田 広 史