相談会での注意いくつか
有料・無料に関係なく、相続相談での注意をいくつか述べます。
まず、有料か無料かは相談の日時を決めるときに、相談者へ伝えてください。相談日当日に話せばよいだろう、などと一人よがりは避けてください。もめる元です。
相談者は自分の主張は正しいと思い込んでいる場合が多いものです。それに振り回されないように注意してください。またむやみに同意しないようにしてください。そのような行為が自分の考えは正しいと、相談者を思わせてしまうことになりかねません。
上記に関連することですが、1例です。
相談者は相続人は自分1人と判断していました。したがって、相続手続は急がなくてもよいのだ、とのことでした。おそらくその確認の意味で事務所へ来たものと思われます。
しかし、相続人関係図(別紙)を作成しながら伺っていた私は、もう1人相続人がいることに気づきました。相談者に確認したところ健在でした。
相談者はなぜそのような人まで相続人なのか、かなり不満そうでした。これはありがちな反応です。50年以上も交際のない者までなぜ?、といった場合もありました。
このように相談内容を聞き取る場合は、相続人関係図を作成しながら対応することをおすすめします。思わぬ発見があることもあります。
相談会場が1階、またはエレベーターがあれば問題はありません。
しかし、そうでない場合は念のため相談申し込みがあった場合に、事務所までの階段を使えるかどうか確認をしておいてください。
高齢者はたとえ2階(当事務所)であってもかなり困難な場合があります。イスにすわっていただいて、前後で私どもが持ち上げて事務室までお連れしたこともあります。
相談会場を設けても、公共施設が古いとエレベーターやエスカレーターのないことがあります。事前に調べておくことをおすすめします。
相談者が見えてもいきなり相談内容に入るのではなく、飲み物などを出して、少し緊張を解いてから本題に入る方がよいでしょう。
たいていの方は相続相談などは初めてですし、私どものような資格者に話をするのもほぼないでしょう。順序立てて説明するのはなかなか困難です。
まずは相談者の話を聞いてあげて、その中から相談の中心をつかみ、相談したい内容を取り上げるようにしてください。
最初は世間話であったり他の相続人への苦情や不満ばかりかも知れません。それでもていねいに聞いてあげていると、意外と困難な事案だということがわかることがあります。
業務の発見はもしかすると雑談ができるかどうか、かも知れないのです。
なお、事務所ではなく会場での飲み物は自動販売機を利用してください。
相談の際は、相談者の確認のため、「相談記録」(別紙)を利用しています。
住所、氏名、年齢、職業等はこちらも知っておく必要があります。そのつどメモするよりも相談者に直接記入してもらう方が正確です。
高齢者の場合は、記載できない方もいらっしゃいます。そのときは当方で代筆してあげてください。記載した後で読み上げ、誤りのないことを必ず確認するようにしてください。
相談記録について補足しますと、相談者には氏名から年齢までを書いてもらい、後はこちらで追記します。
相談後、記録を基にパソコンで清書して保管するように心がけています。記録だけですと時間が経過すると忘れたり、誤って記憶したりしますので、整理しておくことはたいせつです。
なお、調査しなければ不明な点があることもあります。その場合は、記載されている住所地に郵便で連絡することもあります。相談者に郵便で通知してもよいかは確認するようにしてください。何らかの事情で家族間で折り合いがよくないこともあります。この点も注意してください。
この調査後の連絡により、信頼していただいたようで依頼されたことが数件あります。これもりっぱな営業です。
「ひろネコ通信」をお読みいただいている方がどのような疑問を持たれているか、やや不明な点もあります。すべてに回答できるものではありませんが、お問い合わせくだされば対応できる内容のときは検討いたします。
塾長 黒 田 広 史